【10月追記】PS4対応ツインスティック『ツインスティックVTX』がクラウドファンディングを開始!

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今回のキャンペーンはタニタがてがけるPS4用のツインスティックコントローラーのクラウドファンディングです。私自身がバーチャロン好きなのも有りますが、一クラウドファンディングキャンペーンとして見たときも中々興味深い内容になっています。

PS4対応のツインスティックを作ろう!

今回のツインスティックVTXはPS4ソフト「とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)」の発売に合わせ、PS4に対応したツインスティックコントローラーを作ろうと企画されたものです。

こういった特殊形状のコントローラーはゲーム市場の中でも比較的ニッチなアイテムで、グランツーリスモの様な世界的に売れるソフトに対してでもあまり作られない製品です。

しかしツインスティックによる操作感にこだわる一部のゲーマーのため、タニタがクラウドファンディングを通じて出資金を募り、製品化を実現させようとしています。

目標額が2億7700万円!

正直このキャンペーンには色々と驚かされるポイントが多く有ります。

まず、目標調達額が2億7700万円に設定されています。国内の購入型クラウドファンディングキャンペーンで3億円近い支援を集めた例はまだ存在せず、目標額としては非常に高い印象を受けます。企業案件は比較的目標額を達成しやすいとはいえ、この金額は極めてハードルが高いです。

ただコントローラーの設計開発費、量産のための金型製作費、製品の生産コスト、その他諸々の費用を含めていくと約3億円というのは目標設定額として妥当な金額かもしれません。実際はタニタの保有する設備やノウハウをどの程度活用できるかによってこの辺りの負担は変わってくるでしょう。

クラウドファンディングの場合、多くの出資金はリワードを伴うため、実際に企業が使える価格は『出資額-リワードの生産コスト』となります。例えば10000円の出資を受けた時、一つ作るのに3000円のリワードを設定しているとしたら、自由に使えるのはそれを差し引いた7000円のみとなります。この時、リワードに対しどれだけ多めの金額を付けるからは運営者次第ですが、とにかくクラウドファンディングに集まったお金の全額を製品の開発に回せるわけではないということです。

ちなみにCAMPFIREは約17%の手数料を取るため、仮に目標額ジャストで終了した場合、実際にタニタに支払われるのは2億5000万円ほどになる見込みです。

目指すのはアーケード筐体並のクオリティ

1台当たりにコストの掛けられるアーケード筐体(ゲームセンターなどに置かれる業務用ゲーム機)に比べ、家庭用の後付けコントローラーは実売価格も低く、相対的にコストを掛けづらい実情が有ります。そのため、例えばレースゲーム用のステアリングコントローラーなども家庭用ではいささか作りがチープになりがちです。

しかし今回タニタは耐久性、操作感においてアーケード筐体に劣らないクオリティを実現しようとしています。整備性も良く、定期メンテナンスを行えば一生使い続けられる、家庭用としてはややオーバークオリティとも言えるコントローラーを目指しました。

それは多少価格にも跳ね返っており、最低価格5万円とコントローラー1機でゲーム機以上の高価格を付けています。まぁゲーム業界では鉄騎など前例が全くないわけでは有りませんが、一般人の感覚としてはかなり高額な製品です。

期間は2018年7月末まで

目標が高い分、クラウドファンディングのキャンペーンとしては比較的長めに期間設定されています。7月末までの60日の期間設定を行っており、資金調達期間としてはかなり長いです。
この記事を読んで下さった方もまだまだ間に合います。

ただしこのキャンペーンはAllorNothing形式を取っているため、目標額が達成できない場合、製品化は実現しません。現在約4000万円、15%ほどが集まっています。一般的には既に十分な出資金が集まっている状況ですが、なにぶん目標額が高額なため、まだ15%に留まっている状況です。出資者数1000人近い人気プロジェクトのため、ここからの伸びに期待したいですね。

【2018-08追記】8000万円を集めるも結果的には未達成

Webメディアも含め、幅広くPR活動を行っていたツインスティックVTXですが、遂に資金調達最終日を迎えました。

最終日には大きな伸びを見せ、約8200万円、1682人からの支援を集めるも、目標額の2億7700万円には遠く及ばず、残念ながら未達成という結果となってしまいました。

CAMPFIRE歴代屈指のキャンペーンに

結果としては未達成となってしまいましたが、集まった資金の規模はCAMPFIREの歴史上で上位3位内に入ります。クラウドファンディングそのものは失敗なのですが、8200万円という金額は世界的に見ても立派です。

ちなみに今回のキャンペーンの焦点であったコントローラー本体も、1個5万円という高価な製品にも関わらず1000人以上が購入を希望しています。タニタとしては5000人を見越していたようですが、それでも少なくない見込み客がいたことがわかります。ユニークなことに、100万円のタニタ1日社長権なども購入されています。

それでも達成できなかったのは2億7700万円と目標額が非常に高かったことが原因と言えるでしょう。もちろんある程度の採算を合わせるために仕方なかった側面は有ると思うのですが、これは今見ても高すぎるハードルです。

仮にこれを達成できたら日本新記録を大きく更新する、というレベルの高さだった分、私も注目していたのですが、現状では有名コンテンツとのコラボや大規模なPR戦略を行っても1億を超えていくのは相当厳しいという日本のクラウドファンディング市場の一つの限界が改めて浮き彫りになりました。

【2018-10追記】

camp-fire.jp

前回惜しまれつつも失敗に終わったツインスティックプロジェクトですが、諸条件を見直し再度CAMPFIREに出展しました。

前回大幅に目標額に届かなかったことを受けて今回は4000万円弱をゴールに設定しています。前回既に8000万円のポテンシャルは有ることがわかっているので、今回は無事達成できそうです(既に60%達成済み

リワードは前回注文数が少なかったものを中心に抜本的に見直されており、タニタの全社的なリワードが盛り込まれていた前回に比べると、より商品そのものに注力した現実路線のリワードが並びます。前回より一種のお祭り感は薄れましたが、より手堅いキャンペーン設計になっている感じです。これを外すと後が無い、というタニタさんの強い意思を感じる…。

またメインのリワードとなるツインスティックそのものも設計を見直しコストダウンを進めたことで、4万円に値下げするにことに成功しました。前回価格的に手が出なかった人にちょっとだけ優しい仕様になっています。ただし今回は1000台限定仕様となったため、早めに注文しないと買い逃す可能性は高いです(前回は1200人注文